Node.jsからMySQLに接続する — mysql2のコネクションプール入門
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接続を確認するでは、SHOW PROCESSLIST に Sleep の接続が何本も並んでいる様子を見ました。
あれを作り出していたのが、アプリケーション側のコネクションプールです。
この章では、Node.jsからMySQLに接続し、そのプールを自分の手で組み立てます。
学習者接続して、クエリを投げて、閉じる。それだけの話じゃないんですか?
その「それだけ」を素直に書くと、リクエストが増えた瞬間に破綻します。なぜ破綻するのかを先に見ましょう。
まず素直に書いてみる
Node.jsからMySQLを使うライブラリは mysql2 が定番です。
npm install mysql2もっとも単純な形が createConnection です。
import mysql from 'mysql2/promise';
const conn = await mysql.createConnection({
host: 'localhost',
user: 'app',
password: process.env.DB_PASSWORD,
database: 'myapp',
});
const [rows] = await conn.query('SELECT id, name FROM users WHERE id = ?', [1]);
console.log(rows);
await conn.end();動きます。しかし、これをWebアプリのリクエストハンドラの中に書くとどうなるでしょうか。
// これをやってはいけない
app.get('/users/:id', async (req, res) => {
const conn = await mysql.createConnection(config); // 毎回作る
const [rows] = await conn.query('SELECT * FROM users WHERE id = ?', [req.params.id]);
await conn.end(); // 毎回閉じる
res.json(rows);
});MySQLとは何かで見た通り、接続の確立にはTCPのハンドシェイクと認証の往復があります。
このコードは、たった1行のSELECTのために、毎回その往復を丸ごと払っています。
接続の確立コストは、クエリそのものの実行時間より大きくなることが珍しくありません。さらに悪いことに、同時アクセスが増えれば増えるだけ接続が同時に作られます。100件同時に来れば100本。max_connections の151はあっという間です。

コネクションプールという解き方
あらかじめDBサーバーへのTCP接続を複数確立して保持しておき、SQLを実行するときに未使用の接続を取得して使用する。
処理が終わった接続は切断せず、再利用できる状態に戻す。これで、最初に挙げた2つの問題が同時に解けます。
| 問題 | プールでどうなるか |
|---|---|
| 接続の確立が毎回発生する | 最初に作った接続を使い回すので、確立は起動時などに数回だけ |
| 同時アクセスで接続が増えすぎる | 上限を決めておけるので、それ以上は増えない |
createPool
書き方は createConnection とほとんど変わりません。
構文: mysql.createPool(オプション)
import mysql from 'mysql2/promise';
export const pool = mysql.createPool({
host: process.env.DB_HOST,
user: process.env.DB_USER,
password: process.env.DB_PASSWORD,
database: process.env.DB_NAME,
connectionLimit: 10,
waitForConnections: true,
queueLimit: 0,
});戻り値: Pool オブジェクト(await は不要。この時点ではまだ接続していない)
主なオプション
接続情報(host など)に加えて、プールの挙動を決めるオプションがあります。
| オプション | 既定値 | 説明 |
|---|---|---|
connectionLimit | 10 | 同時に持てる接続の最大本数 |
waitForConnections | true | 全部出払っているとき待つか。false なら即エラー |
queueLimit | 0 | 待ち行列の最大数。0 は無制限 |
maxIdle | connectionLimit と同値 | アイドル接続を何本まで保持するか ※ アイドル接続は、「DBとの接続自体は維持されているが、現在はSQL実行に使われていない接続」 |
idleTimeout | 60000 | アイドル接続を閉じるまでのミリ秒 |
いちばん重要なのは connectionLimit です。ここを 1アプリケーションプロセスが同時に持てる接続の本数 として捉えてください。
先生waitForConnections は true のままでいい。false
にすると、混雑した瞬間にリクエストがエラーになる。待たせたほうがマシな場面がほとんどだよ。
クエリを投げる
プールから直接クエリを投げられます。
構文: pool.query(sql[, values])
| 引数 | 渡せるもの | 説明 |
|---|---|---|
sql(第1引数) | 文字列 | 実行するSQL。値の部分は ? で書く |
values(第2引数) | 配列 | ? に埋める値。省略可 |
戻り値: [rows, fields] の配列。rows が結果行、fields が列のメタ情報
const [rows] = await pool.query('SELECT id, name FROM users WHERE id = ?', [userId]);第1要素だけ使うことがほとんどなので、const [rows] = ... と分割代入で受けるのが定番です。
query と execute の違い
mysql2 にはよく似た2つのメソッドがあります。
| メソッド | 中身 |
|---|---|
pool.query() | 値をエスケープしてSQL文を組み立て、通常のクエリとして送る |
pool.execute() | サーバー側でプリペアドステートメントを作って実行する |
同じSQLを繰り返し実行するなら execute に利があります。まずは execute を既定にして、動的にSQL構造そのものが変わる箇所だけ query を使う、という整理で困りません。
トランザクションでは接続を固定する
ここがこの章でもっとも重要な部分です。
学習者pool.query が接続を自動でやってくれるなら、トランザクションもこう書けますよね?
// 動かない
await pool.query('BEGIN');
await pool.query('UPDATE accounts SET balance = balance - 1000 WHERE id = 1');
await pool.query('UPDATE accounts SET balance = balance + 1000 WHERE id = 2');
await pool.query('COMMIT');このコードは、SQLとしては完全に正しいのに壊れます。
理由は、いま確認した pool.query の性質にあります。1回ごとに接続を借りて返しているので、4本のSQLがそれぞれ別の接続で実行される可能性があるのです。
MySQLのトランザクションは接続ごとに独立しています。接続1で BEGIN しても、接続2から見ればトランザクションは始まっていません。
結果として、2本のUPDATEはトランザクションの外で即座に確定し、ROLLBACK しても戻りません。送金元だけ減って送金先が増えない、という最悪の壊れ方をします。
正しくは getConnection で接続を取り出します。
構文: pool.getConnection()
戻り値: PoolConnection(release() で必ず返却する必要がある)
const conn = await pool.getConnection();
try {
await conn.beginTransaction();
await conn.execute('UPDATE accounts SET balance = balance - ? WHERE id = ?', [1000, 1]);
await conn.execute('UPDATE accounts SET balance = balance + ? WHERE id = ?', [1000, 2]);
await conn.commit();
} catch (err) {
await conn.rollback();
throw err;
} finally {
conn.release();
}ポイントは3つです。
connを使い回す —poolではなく取り出した接続に対してクエリを投げるcatchでrollback— 例外時に確実に巻き戻すfinallyでrelease— 成功でも失敗でも必ず返す

connectionLimit をいくつにするか
「大きいほど速い」ではありません。ここは max_connections と直結します。
計算はシンプルです。
connectionLimit × アプリのプロセス数 ≦ max_connections(既定151)
たとえば connectionLimit: 10 のアプリを4インスタンス動かせば40本。ここに管理ツールやバッチ、監視、手元の mysql コマンドが乗ります。
アイドル接続が切られる問題
接続を確認するで見た wait_timeout(既定8時間)を思い出してください。サーバーは、長時間使われない接続を一方的に切ります。
プールはそれを知らないので、切れた接続を「まだ使える」と思って保持し続けます。次にそれを借りたリクエストがエラーになります。
Error: Connection lost: The server closed the connection.
mysql2 の idleTimeout(既定60000ミリ秒=60秒)は、まさにこの対策です。サーバーが切るより先に、プール側からアイドル接続を閉じてしまうという考え方です。
既定の60秒は8時間よりはるかに短いので、通常はそのままで問題ありません。設定を触るときだけ、この関係を崩していないか確認してください。
よくあるハマりどころ
リクエストごとに createPool してしまう
// これでは意味がない
app.get('/users', async (req, res) => {
const pool = mysql.createPool(config); // リクエストごとに新しいプール
const [rows] = await pool.query('SELECT * FROM users');
res.json(rows);
});プールはアプリケーション全体で1つ作り、モジュールとして共有します。リクエストごとに作ると、createConnection を毎回呼んでいたのと同じか、それ以上に悪い状態になります。
プロセスが終了しない
スクリプトやバッチで、処理が終わったのにプロセスが終了しないことがあります。プールが接続を保持したままだと、Node.jsはイベントループが空にならないと判断します。
await pool.end();接続を返す前に return してしまう
// release されないパスがある
const conn = await pool.getConnection();
const [rows] = await conn.query('SELECT * FROM users');
if (rows.length === 0) return null; // ここで漏れる
conn.release();早期リターン、例外、throw——release() の手前で抜けるパスがひとつでもあると接続は漏れます。try/finally はこれを構造的に防ぐための書き方です。
ちゃんと使うためのポイント
- リクエストごとの
createConnectionは、確立コストと接続数の両方で破綻する - プールはアプリケーション全体で1つだけ作り、共有する
createPoolは接続を張らない。接続は必要になってから作られるconnectionLimitの既定は10。connectionLimit × プロセス数 ≦ max_connectionsで見積もる- 単発のクエリは
pool.query/pool.executeでよい - トランザクションは
getConnectionで接続を固定し、try/catch/finallyでcommit/rollback/releaseを書く idleTimeoutはサーバーのwait_timeoutより十分短く保つ
参考リンク
接続処理を本番へ出したあとも、テーブル定義は変化します。スキーマ変更とマイグレーションでは、ALTER TABLE の方式と、旧版・新版を共存させるリリース手順を扱います。