IaaS・PaaS・SaaSの違い — クラウドサービス3形態の使い分け
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クラウドサービスは、「どこまでを事業者に任せ、どこからを自分でやるか」によって IaaS・PaaS・SaaS の3形態に分類されます。
この3つの違いはAZ-900の最頻出テーマのひとつで、「このシナリオに適したサービス形態はどれか」という形で必ずと言っていいほど出題されます。この章で完全に整理しましょう。
学習者イァース…パース…?略語が3つ並ぶと、どれが何を指してるのか毎回わからなくなるんだよね…
先生略語で暗記しようとすると混乱します。まず「aaS = as a Service(サービスとして提供される)」を外して、頭文字だけ見てください。I=インフラ、P=プラットフォーム、S=ソフトウェア。何を「サービスとして」借りるのか が名前にそのまま書いてあるんです。
まずは例えで — ピザで理解するIaaS・PaaS・SaaS

有名な「Pizza as a Service」という例えがあります。夕食にピザを食べる方法は4つあります。
| 方法 | 自分でやること | 例えるなら |
|---|---|---|
| 完全に手作り | 生地作りから焼き上げ、テーブルの用意まで全部 | オンプレミス |
| 冷凍ピザを買って家で焼く | 焼く・飲み物・テーブルの用意 | IaaS |
| 宅配ピザを頼む | 飲み物とテーブルの用意だけ | PaaS |
| レストランで食べる | 何もしない(食べるだけ) | SaaS |
どの方法でも「ピザを食べる」という目的は同じです。違うのは どこまでを他人に任せるか だけ。クラウドサービスの3形態も、まったく同じ構造をしています。
責任範囲で見る3形態
例えを実際のITスタックに置き換えると、次のようになります。
青が 利用者の責任、グレーが 事業者の責任 です。IaaS → PaaS → SaaSの順に、利用者の管理範囲が狭くなっていきます。
IaaS (Infrastructure as a Service)
インフラ(仮想マシン・ネットワーク・ストレージ)だけを借りて、OSから上は自分で管理する 形態です。
- 代表例: Azure Virtual Machines(仮想マシン)
- OSの選択、ミドルウェアの構成、パッチ適用まで自由にできる
- そのぶんOSの更新やセキュリティ対策は利用者の仕事
- オンプレミスからの移行(リフト&シフト)で最初に選ばれやすい
PaaS (Platform as a Service)
アプリを動かす土台(プラットフォーム)まで借りて、利用者はアプリとデータだけに集中する 形態です。
- 代表例: Azure App Service(Webアプリ実行環境)、Azure SQL Database、Azure Functions
- OSやランタイムのパッチ適用は事業者が自動でやってくれる
- 開発者は「コードを書いてデプロイする」だけでよい
- そのかわりOSレベルの細かいカスタマイズはできない
SaaS (Software as a Service)
完成したソフトウェアそのものをサービスとして使う 形態です。
- 代表例: Microsoft 365(Outlook、Teams、Word)、Gmail、Salesforce
- インストールも保守も不要で、ブラウザやアプリからすぐ使える
- 利用者が管理するのは自分のデータとアカウントだけ
Azureのサービスを3形態に対応づける
学習者概念はわかってきた!でも試験では「Azure App Serviceはどれにあたるか」みたいに、具体的なサービス名で聞かれるんだよね?
その通りです。AZ-900で登場する主要サービスを3形態に整理しておきます。この対応表は後の章を読むときの索引にもなります。
| 形態 | Azureのサービス | この本での登場章 |
|---|---|---|
| IaaS | Virtual Machines、Virtual Network、Azure Storage(ディスク) | 第6〜8章 |
| PaaS | App Service、Azure SQL Database、Azure Functions、Azure Container Apps | 第6章 |
| SaaS | Microsoft 365、Dynamics 365 | — (Azure外のMicrosoft製品) |
ユースケースで選ぶ — 試験の定番パターン
「どの形態を選ぶべきか」は、コントロールしたい範囲と、管理の手間のトレードオフ で決まります。試験で問われる典型シナリオを見てみましょう。
シナリオ1: 既存の社内システムを、OSの構成を変えずにそのままクラウドへ移行したい
→ IaaS。OSレベルの完全なコントロールが必要なので、仮想マシンにそのまま載せ替えます。
シナリオ2: 開発チームにOS管理の手間をかけさせず、Webアプリの開発に集中させたい
→ PaaS。App Serviceならコードのデプロイだけで済み、パッチ適用は自動です。
シナリオ3: 全社員にメールとオフィスソフトを使わせたい。管理コストは最小にしたい
→ SaaS。Microsoft 365を契約すれば、インフラもアプリも管理不要です。
先生迷ったら「管理したい範囲はどこまでか」を問題文から探してください。「OSを自由に構成したい」とあればIaaS、「開発に集中」とあればPaaS、「すぐ使いたい・管理したくない」とあればSaaS。問題文には必ずヒントの語句が入っています。
まとめ
- IaaS・PaaS・SaaSの違いは 「どこまでを事業者に任せるか」の違い(ピザの例え: 冷凍ピザ・宅配ピザ・レストラン)
- IaaS = インフラだけ借りる(Azure VM)。OSから上は自分で管理
- PaaS = プラットフォームまで借りる(App Service)。アプリとデータに集中できる
- SaaS = 完成したソフトを使う(Microsoft 365)。管理するのはデータとアカウントだけ
- どの形態でも データとアカウント管理の責任は利用者に残る
- 形態選びの基準は コントロールしたい範囲と管理の手間のトレードオフ
次の章では、いよいよAzure本体に入ります。リージョン・可用性ゾーン・サブスクリプション という、Azureのすべてのサービスの土台になる階層構造を見ていきましょう。