ウェブエンジニア問題集
第4章

IaaS・PaaS・SaaSの違い — クラウドサービス3形態の使い分け

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クラウドサービスは、「どこまでを事業者に任せ、どこからを自分でやるか」によって IaaS・PaaS・SaaS の3形態に分類されます。

この3つの違いはAZ-900の最頻出テーマのひとつで、「このシナリオに適したサービス形態はどれか」という形で必ずと言っていいほど出題されます。この章で完全に整理しましょう。

学習者学習者

イァース…パース…?略語が3つ並ぶと、どれが何を指してるのか毎回わからなくなるんだよね…

先生先生

略語で暗記しようとすると混乱します。まず「aaS = as a Service(サービスとして提供される)」を外して、頭文字だけ見てください。I=インフラ、P=プラットフォーム、S=ソフトウェア。何を「サービスとして」借りるのか が名前にそのまま書いてあるんです。


まずは例えで — ピザで理解するIaaS・PaaS・SaaS

アイデアを描く女性のイラスト

有名な「Pizza as a Service」という例えがあります。夕食にピザを食べる方法は4つあります。

方法自分でやること例えるなら
完全に手作り生地作りから焼き上げ、テーブルの用意まで全部オンプレミス
冷凍ピザを買って家で焼く焼く・飲み物・テーブルの用意IaaS
宅配ピザを頼む飲み物とテーブルの用意だけPaaS
レストランで食べる何もしない(食べるだけ)SaaS

どの方法でも「ピザを食べる」という目的は同じです。違うのは どこまでを他人に任せるか だけ。クラウドサービスの3形態も、まったく同じ構造をしています。


責任範囲で見る3形態

例えを実際のITスタックに置き換えると、次のようになります。

青が 利用者の責任、グレーが 事業者の責任 です。IaaS → PaaS → SaaSの順に、利用者の管理範囲が狭くなっていきます。

IaaS (Infrastructure as a Service)

インフラ(仮想マシン・ネットワーク・ストレージ)だけを借りて、OSから上は自分で管理する 形態です。

  • 代表例: Azure Virtual Machines(仮想マシン)
  • OSの選択、ミドルウェアの構成、パッチ適用まで自由にできる
  • そのぶんOSの更新やセキュリティ対策は利用者の仕事
  • オンプレミスからの移行(リフト&シフト)で最初に選ばれやすい

PaaS (Platform as a Service)

アプリを動かす土台(プラットフォーム)まで借りて、利用者はアプリとデータだけに集中する 形態です。

  • 代表例: Azure App Service(Webアプリ実行環境)、Azure SQL DatabaseAzure Functions
  • OSやランタイムのパッチ適用は事業者が自動でやってくれる
  • 開発者は「コードを書いてデプロイする」だけでよい
  • そのかわりOSレベルの細かいカスタマイズはできない

SaaS (Software as a Service)

完成したソフトウェアそのものをサービスとして使う 形態です。

  • 代表例: Microsoft 365(Outlook、Teams、Word)、Gmail、Salesforce
  • インストールも保守も不要で、ブラウザやアプリからすぐ使える
  • 利用者が管理するのは自分のデータとアカウントだけ

Azureのサービスを3形態に対応づける

学習者学習者

概念はわかってきた!でも試験では「Azure App Serviceはどれにあたるか」みたいに、具体的なサービス名で聞かれるんだよね?

その通りです。AZ-900で登場する主要サービスを3形態に整理しておきます。この対応表は後の章を読むときの索引にもなります。

形態Azureのサービスこの本での登場章
IaaSVirtual Machines、Virtual Network、Azure Storage(ディスク)第6〜8章
PaaSApp Service、Azure SQL Database、Azure Functions、Azure Container Apps第6章
SaaSMicrosoft 365、Dynamics 365— (Azure外のMicrosoft製品)

ユースケースで選ぶ — 試験の定番パターン

「どの形態を選ぶべきか」は、コントロールしたい範囲と、管理の手間のトレードオフ で決まります。試験で問われる典型シナリオを見てみましょう。

シナリオ1: 既存の社内システムを、OSの構成を変えずにそのままクラウドへ移行したい

IaaS。OSレベルの完全なコントロールが必要なので、仮想マシンにそのまま載せ替えます。

シナリオ2: 開発チームにOS管理の手間をかけさせず、Webアプリの開発に集中させたい

PaaS。App Serviceならコードのデプロイだけで済み、パッチ適用は自動です。

シナリオ3: 全社員にメールとオフィスソフトを使わせたい。管理コストは最小にしたい

SaaS。Microsoft 365を契約すれば、インフラもアプリも管理不要です。

先生先生

迷ったら「管理したい範囲はどこまでか」を問題文から探してください。「OSを自由に構成したい」とあればIaaS、「開発に集中」とあればPaaS、「すぐ使いたい・管理したくない」とあればSaaS。問題文には必ずヒントの語句が入っています。


まとめ

  • IaaS・PaaS・SaaSの違いは 「どこまでを事業者に任せるか」の違い(ピザの例え: 冷凍ピザ・宅配ピザ・レストラン)
  • IaaS = インフラだけ借りる(Azure VM)。OSから上は自分で管理
  • PaaS = プラットフォームまで借りる(App Service)。アプリとデータに集中できる
  • SaaS = 完成したソフトを使う(Microsoft 365)。管理するのはデータとアカウントだけ
  • どの形態でも データとアカウント管理の責任は利用者に残る
  • 形態選びの基準は コントロールしたい範囲と管理の手間のトレードオフ

次の章では、いよいよAzure本体に入ります。リージョン・可用性ゾーン・サブスクリプション という、Azureのすべてのサービスの土台になる階層構造を見ていきましょう。