ウェブエンジニア問題集
第8章

Azureのストレージサービス — ストレージ層と冗長性オプションを整理する

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アプリケーションのデータをどこに、どう置くか——この章のテーマは Azure Storage です。

AZ-900のストレージ分野は、覚えることが「サービスの種類」「ストレージ層」「冗長性」「移行手段」の4ブロックに綺麗に分かれます。それぞれ表で整理しながら押さえていきましょう。

学習者学習者

ストレージって「ファイル置き場」ってことだよね?BlobとかLRSとか、急に暗号みたいな用語が増えて身構えてるんだけど…

先生先生

用語は多く見えますが、答える問いは4つだけです。「何を置く?(サービス)」「どれくらいの頻度で使う?(層)」「どこまで壊れても守る?(冗長性)」「どうやって運ぶ?(移行)」。この4つの問いを地図にして進みましょう。


ストレージアカウントとサービスの種類

Azureのストレージは、まず ストレージアカウント という入れ物を作るところから始まります。その中で複数のストレージサービスを使えます。

サービス何を置くか典型的な用途
Blob Storage画像・動画・ログなど非構造化データWebサイトの画像配信、バックアップ、データレイク
Azure Filesファイル共有(SMB/NFS)複数サーバーからマウントする共有フォルダ
Queue Storageメッセージ(処理待ちの小さなデータ)アプリ間の非同期なやり取り
Table Storageキーと値の構造化データ大量・シンプルなNoSQLデータ
Managed Disks仮想マシン用の仮想ディスクVMのOSディスク・データディスク

最重要は Blob Storage です。「Blob = Binary Large Object」で、形式を問わない大きなデータの置き場。試験では「非構造化データ」というキーワードとセットで登場します。

Azure Files との違いもよく問われます。Blobはアプリからの API アクセスが基本、Filesは「ネットワークドライブとしてマウントできる共有フォルダ」です。「既存アプリがファイル共有(SMB)を前提にしている」とあればFilesが答えです。


ストレージ層 — アクセス頻度でコストを最適化する

書類を確認する女性のイラスト

Blob Storageには アクセス頻度に応じた「層(アクセス層)」 があり、層を選ぶことで保存コストを最適化できます。

想定するデータ保存コスト読み出しコスト
ホット頻繁にアクセスする高い安い
クールあまりアクセスしない(目安30日以上保存)安いやや高い
コールドほぼアクセスしない(目安90日以上保存)さらに安い高い
アーカイブ年に数回あるかどうか(目安180日以上保存)最安高い+取り出しに数時間

原則はシンプルで、「保存料と読み出し料はシーソーの関係」 です。よく使うデータはホットに、滅多に使わない監査ログや古いバックアップはアーカイブに置きます。


冗長性オプション — データを何重に守るか

Azure Storageは、データを必ず複数コピー保持します。「コピーをどこまで離して置くか」 が冗長性オプションの違いです。

オプションコピーの置き方耐えられる障害
LRS(ローカル冗長)1つのデータセンター内に3つサーバー・ラックの障害
ZRS(ゾーン冗長)3つの可用性ゾーンに1つずつデータセンター全体の障害
GRS(geo冗長)LRS+ペアリージョンにも3つ(計6つ)リージョン全体の災害
GZRS(geoゾーン冗長)ZRS+ペアリージョンにも3つゾーン障害+リージョン災害

GRS/GZRSには、複製先を平常時から読み取り専用でアクセスできる RA-(Read-Access)付きのバリエーション(RA-GRS / RA-GZRS)もあります。

第5章の物理構造(データセンター < 可用性ゾーン < リージョン)がそのまま対応していることに気づいたでしょうか。守りたい障害の規模が大きいほど、コピーを遠くに置く——それだけの話です。

学習者学習者

略語が4つ並ぶと覚えられる気がしなかったけど、「L=ローカル、Z=ゾーン、G=geo(地理的)」で、置き場所がそのまま名前になってるんだね。


データの移動と移行

最後のブロックは「データをAzureへどう運ぶか」です。規模と用途で手段が分かれます。

日常的なファイル移動

ツール特徴
AzCopyコマンドラインでBlob/Filesへ高速コピー。スクリプト化・自動化向き
Azure Storage ExplorerGUIでストレージを操作できるデスクトップアプリ。手作業向き
Azure File SyncオンプレのファイルサーバーとAzure Filesを自動同期。「手元にキャッシュ、全量はクラウド」構成

大規模な移行

サービス特徴
Azure Migrateオンプレのサーバー・DB・アプリの移行を評価から実行まで支援する統合サービス
Azure Data Box物理デバイスを郵送してデータを運ぶ。ネットワーク転送では現実的でないTB〜PB級のデータ向け

ポータルで試してみよう — 冗長性オプションを自分の目で見る

この章で学んだ「層」と「冗長性」は、ストレージアカウントの作成画面にそのまま登場します。

  1. ポータル上部の検索ボックスに「ストレージ アカウント」と入力して選択する
  2. 「+ 作成」 をクリックし、リソースグループ(第5章で作った rg-learn など)を選ぶ
  3. 「基本」タブの 「冗長性」 ドロップダウンを開く — LRS / GRS / ZRS / GZRS が説明付きで並んでいる
  4. 作成した場合は、ストレージアカウント内の 「コンテナー」 でBlobの入れ物を作り、適当な画像をアップロードしてみる
  5. アップロードしたBlobを開くと 「アクセス層」(ホット/クール/コールド/アーカイブ)を切り替えられる

ストレージアカウント自体の維持費はごく小さい(空ならほぼゼロ)ですが、試し終わったらリソースグループごと削除しておくと安心です。


まとめ

  • ストレージの選択は 「何を置く・どれくらい使う・どこまで守る・どう運ぶ」の4つの問い で整理できる
  • サービスは Blob(非構造化)・Files(ファイル共有)・Queue(メッセージ)・Managed Disks(VMディスク) を区別する
  • ストレージ層は ホット⇄アーカイブ で保存料と読み出し料がシーソーの関係。アーカイブは取り出しに数時間かかる
  • 冗長性は LRS(データセンター内) < ZRS(ゾーン分散) < GRS/GZRS(リージョン間) の順に守備範囲が広がる
  • 大量データの移行は Azure Migrate(評価と実行)と Azure Data Box(物理輸送)

次の章では、ここまでに作ったリソースへのアクセスを守る仕組み——Microsoft Entra IDによるIDとアクセス管理 を学びます。